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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)397号 判決 1971年10月13日

本籍

大阪市南区竹屋町一九番地の五

住居

大阪市天王寺区生玉町五四番地の一六

会社役員

中本一雄

大正一五年三月一二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について検察官佐々木信幸出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役七月および罰金一、一〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から一年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人が右罰金を完納することができないときは二万五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

当裁判所の認定した罪となるべき事実は起訴状に記載された公訴事実と同一であるからここにこれを引用する。

(証拠)

一、天王寺税務署長作成の証明書三通

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料各三通

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料付表

一、富士銀行難波支店次長(二通)、住友銀行日本一支店次長、幸福相互銀行丸条支店長代理(二通)の大蔵事務官に対する確認書

一、山本祚光、河合正勝、横山正義、前田登美子、沢田辨二郎、伊藤清明の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、大阪国税局の株式会社大総保険事務所に対する照会書と同社のこれに対する回答書

一、山根常光(二通)、坂上登の大蔵事務官に対する供述書

一、中西豊治郎の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、野村梢子の大蔵事務官に対する確認書

一、大阪国税局の樋口徹雄に対する照会書と同人のこれに対する回答

一、胡甘(二通)、坂上登(二通)、奥野君子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、杉田誠治の大蔵事務官に対する上申書

一、加藤正夫の大阪国税局に対する申告書

一、丸山喜代一、本庄敏夫、荒木一雄、曽我利三、高井茂、高橋永三、本原多賀一、笹岡延行の大蔵事務官に対する確認書各一通

一、藤崎正之の大蔵事務官に対する報告書

一、村上敷物株式会社、吉田弘之、野田清次、井山憲三(二通)、佐々波吉次、平林重雄、松田利三、吉田美佐子、松尾良一の大蔵事務官に対する確認書

一、間瀬俊雄、石原美智子の大蔵事務官に対する供述書

一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書綴(てん末書六通を含む。)

一、大蔵事務官作成の調査元帳

一、大蔵事務官作成の国税査察官調査報告書類綴

一、大蔵事務官作成の銀行調査書類綴

一、杉田誠治、山本祚光の検察官に対する供述調書各一通

一、被告人の大蔵事務官に対する所得税修正申告提出報告書

一、押収にかかる保険関係書類一綴(昭和四六年押第五八一号の一)、広島県ほかの権利証書一綴(同号の二)、同天王寺区関係分一綴(同号の三)売上帳一冊(同号の四)、見積書等計三綴(同号の五ないし七)、注文書一枚(同号の八)、得意カード二枚(同号の九)、納品伝票五枚(同号の一〇)、納品書修了通知書六枚(同号の一一)貸出先取引振管理一綴(同号の一二)、定期預金証書預り書一綴(同号の一三)

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書七通、検察官に対する供述調書二通

(法令の適用)

起訴状公訴事実第一ないし第三に記載されたそれぞれの所為につきいずれも

所得税法二三八条一項(同法一二〇条一項三号)(いずれも懲役刑と罰金刑とを併科する。)

懲役刑についての併合罪加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い起訴状公訴事実第一に記載された罪の刑に加重)

罰金額の合算につき

刑法四五条前段、四八条一項、二項

懲役刑の執行猶予につき

刑法二五条一項

罰金を完納できないときの労役場留置につき

刑法一八条

(裁判官 石川哲男)

公訴事実

被告人は、昭和三二年頃より同四四年二月二六日迄の間大阪市南区難波新地一番地において同伴旅館ホテルニューヨーク難波店を経営していたものであり、昭和三九年一〇月頃より同市天王寺区生玉町五四番地の五において同伴旅館ホテルニユーヨーク生玉店を、更に昭和四四年一一月一七日より同市天王寺区生玉町四番地の一において同伴旅館ホテルマイアミを各経営しているものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和四二年分の所得金額が五六、六六一、八二七円、これに対する所得税額が三三、〇四〇、五〇〇であるにもかかわらず、税務調査に備え事業収支にかかるすべての記録を破棄してその収支を不明にし、更に日々の現金収入金の一部を除外しこれを架空名義で定期預金を設定するなどの不正行為により、右所得金額中四六、二六七、四二九円を秘匿したうえ、昭和四三年三月八日大阪市南区所在南税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が一〇、三九四、三九八円、これに対する所得税額が三、九五〇、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税二九、〇八九、七〇〇円を免れ、

第二、昭和四三年分の所得金額が五五、二七〇、四九〇円、これに対する所得税額が、三二、〇一六、二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中四四、八七六、〇九二円を秘匿したうえ、昭和四四年三月三日前記南税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が一〇、三九四、三九八円、これに対する所得税額が三、九一四、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税二八、一〇一、四〇〇円を免れ、

第三、昭和四四年分の所得金額が二九、三四三、一四八円、これに対する所得税額が一四、六三五、三〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正行為により、右所得金額中二〇、二四七、六九一円を秘匿したうえ、昭和四五年二月二四日大阪市天王寺区所在天王寺税務署において、同署長に対し、同年分の所得金額が九、〇九五、四五七円、これに対する所得税額が三、一四八、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて同年分の所得税一一、四八六、八〇〇円を免れ

たものである。

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